カテゴリ:リメンセラー( 5 )


久方ぶりのまともな更新です。

現在わたくし、穂葉は「夏休み限定企画!」を進行しております。

現在の進行状況はこちら ↓

夏休み限定企画①<恐怖の夏休み進行!(私限定)執筆祭り>

〆切に追われる小説家の如く書いて書いて書きまくるというコーナーです。
現在水面下で作品が一つ進行しておりますが…さて。


夏休み限定企画②<スカイプ祭り>

実はこっそり持っているスカイプID。それを活用してワイワイやろうというコーナーです
8月14日に開催され、無事終了しました。


夏休み限定企画③<まさかのスニーキングミッション祭り>

祭りいらなくね?
私の住んでいる愛知県内、あるいはその近辺の施設に(合法的に)潜入し、撮影、結果を報告するというコーナー。水族館・博物館・海・川・山・城など候補はあれど、特に行く先は決まってない始末。一番企画倒れする確率の高いコーナーです。


以上3本仕立てで特別企画は進行中です。

ちなみに企画した理由は特にありません(ぇ

強いて言うなら気まぐれと…あとなんかできそうだったから!(どんなだ

そんなわけで、過疎ブログの特別企画、こっそり進行中…。
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「見て!これがマイ・ホームよ!夢にまでみた我が家よ!」

感無量とばかりにテレシアは歓声を上げた。
両手を大きく広げてはしゃぎまわるその様子は、まるでお気に入りのおもちゃを手にした子供のようである。

だが実際、テレシアは手にしたのであった。

違うのは、彼女が子供ではないことと、手に入れたのはおもちゃではなく、夢にまでみた新居であったことだけである。

「気に入ってもらえてうれしいよ」
テレシアの後をゆっくりと歩いてきた男が言った。

男の名はストリゴイ・エルガー。
年のころは30代後半、一見すると、色白の肌で長身痩躯の伊達男といった風貌である。

だが、白髪の目立つ頭髪、斜に構えたどこか皮肉げな顔立ち、首・腕・耳の純金の悪趣味なアクセサリー、そして足が長いせいで安定が悪いのか左右にひょこひょこと揺れる歩き方…それら全てが彼の醸し出す雰囲気を酷く台無しにしてあまりあるものだった。

「最高よ!最高だわ!素敵な恋人のついでに夢まで叶うなんて!」

テレシアはそう言って、傍から見れば胡散臭いチンピラにしか見えないストリゴイの腕の中に飛び込んだ。

テレシア・マクネスは26歳のうら若き少女である。

といって、自在に顔かたちを変える魔族というわけでも、永遠を生きる魔性の一族出身というわけでもない。

童顔で、年齢の割にはおっとりしていて幼い感じの、おとなしそうな外見が、そう思わせるのである。聖女といっても通用しそうな外見だが、その見かけに似ず、活発な女性である。

「―――あら?夢が叶うついでに素敵な恋人が手に入るなんて、のほうが正しいのかしら?」
「お、おいおい、それじゃ俺がオマケになっちまうじゃないか。勘弁してくれよ。結構苦労したんだぜ?そもそも…」

「そうよ!結局は『卵が先か、スクランブルエッグが先か』って事よね」
「俺の苦労話は無視かい!」

と、男は投げやりに叫んだ。「…しかし、どうでもいいが…それってたしか、鶏と卵じゃなかったか?」

「些細な違いよ。鶏もスクランブルエッグもどっちも美味しい!文句ある?」
「…………ま、いいけどさ」

ストリゴイはそれ以上の追求をあきらめた。そして大げさに肩をすくめて、
「まあ軒先で痴話喧嘩もなんだ。―――さ、入ってみようぜ。麗しの「マイ・ホーム」によ」
とテレシアを促すと、ガラの悪いチンピラと聖女のような娘という凸凹コンビは、ようやく我が家に向かって歩き出したのだった。
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「おい、お前達。伏せておいた方がいいと思うぞ」
「「は?」」
刹那、橙色の閃光があふれ出し、目の前のボロヤの窓が轟音と共に粉みじんに吹き飛んだ。

「サルトリー・アロー!」
次いで何者かの声と共に繰り出された紅蓮の驟雨を、バルドンは体勢を低くしてやり過ごす。襲撃者はどちらも牽制を目的としており当たれば上等、といった程度の腹積もりだろう。
間髪入れずに飛び出してきた飛び出す襲撃者は二人。ひと組の男女である。

襲撃者にとって幸運だったのは相対する三体の敵のうち二体までを仕留めたことであり、不幸だったのは残った一人がバルドンであったことだった。

(ちっ。葬儀代に人件費に…ああ、また無駄な費用がかさむじゃないか!)

部下の死に、心中で頭を抱えて悲鳴を上げる。中間管理職の悲しい性である。
だがそんなバルドンの内心の葛藤はさておき、長年の経験の賜物か反射的に臨戦態勢に入り、呪文を選ぶ。指は自然と宙を踊り言葉はスラスラと紡がれていた。

一方の襲撃者は互いの顔を見て、頷くと、詠唱を隙と見てか女の方が襲いかかってきた。女がオフェンス、男が魔術でバックアップという構図であるようだ。

詠唱を継続しつつ、女のショートソードをやたらめったらに振り回す攻撃をバックステップして避ける。
まるで鈍器を振り回すような、流派も減ったくれもない、あえて言うなら滅茶苦茶流とでも称すべきその攻撃は実に隙だらけである。その気になれば魔術など使わずとも眼前の敵を叩き潰すのは造作もない。造作もないが、それをしない。

バルドンに、ある考えが浮かんだ。

「ようお嬢さん。我流かい?剣の型がなっちゃいないぜ。むちゃくちゃだ」

唐突に、ほとんど発動直前段階までいっていたアイシクル・キャノン(冷気凍結弾)の詠唱を取りやめ、軽口を叩きつつ距離を取る。相手側は終始無言。

バルドンは、やれやれとばかりに肩をすくめて見せた。
もちろん、女の後方に控える魔術師への警戒も怠らない。

魔術師風の男は今のところは様子見といった感じである。バルドンとの遭遇はいわばイレギュラーな事態。敵わぬ判断すれば生存優先、女を囮に一人で逃げる算段をたてるであろう事は容易に想像できる。
だが男の逃亡はバルドンにとって好ましくない。どちらが重要な情報を握っているともわからぬ以上、男女どちらも捕える必要があった。

手持ちの駒は、あいにくと自分一人。
状況は、敵側にやや優勢だった。

バルドンの言動を油断とみて、襲撃者たちが動いた。

女が跳躍して斬りかかる、それに前後して魔術師が放った不可視の風の刃による左右からの挟撃、合計前三方向から迫る斬撃。

相対するバルドンはそれに瞬時に反応、

「フッ…この程度のコンビネーション、破ることなど造作もない!」

大見えを切ると高速詠唱。
命を脅かす攻撃が数センチ先に迫ったその時を見極め呪文を---

「其は闇を祓う救世(くせ)の光!其は魔を灼く光輝の礫(つぶて)!穿て!デマイズ・レ…あ、これひょっとして間に合わね…」

---発動できなかった。
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こんな辺鄙なところまでようこそおいで下さいました。
ここは「裏面の商人の興業」…その暗黒面です(オイ)
お相手は管理人、穂葉です。ここは小説(…?)コッソリ公開コーナーとなっております。

…久々に書きあげ(?)ましたが…予想外に疲れました。
こんな感じで一つ、仕上げていく予定です。
公開しているのはあくまで暫定版なので…正式版はいろいろ変わりますよ?きっと。
そんなわけで、どうぞごゆるりとご覧になっていってください。



―――時は『蒼き惑星(ラズライト)暦』1970年、天候は快晴。
私はおそらく、その日そこで出会った者達、見た光景を忘れる事は無いだろう。
生まれ育った祖国の崩壊という、その有様を。
そして彼ら、盗賊という、その生き様を…


 その城は、周囲をぐるりと取り囲む石造りの民家を見下ろすようにして、小高い丘の上に建っていた。

小国家、ハイドレイン。

この日、度重なる戦争の果てに、遂に隣国の一つ…大陸にその国ありと謳われた大国「フロート公国」の軍勢によって追い詰められ滅びを迎えようとしている国である。

その城下、街と外の間には魔物の襲撃に備えて建造された厚い外郭がある。

しかし普段は閉ざされているはずの門扉は外に向かって大きく開かれており、開け放たれた鉄門から一人の少女が侵入するのも、実に容易い事であった。

青いシャツの上に革鎧を着込み、マントを羽織った冒険者風の装いのその少女は一路、街の中央にそびえる古ぼけた王城を目指す。

石畳で舗装された道は、所々爆ぜた様に大小の穴が穿たれていた。 
ハイドレインはそれ自体は確かな伝統のある一国ではあるものの、領土が隣接する南のガルス帝国、北のフロート公国という強大な二国に挟まれたかの国は歴史上常に戦乱の傍にあったためか、街にはさしたる広さも特徴も無い簡素な構えの家々が建ち並んでいる。

家屋の中には崩落したものや、無残に壁を抉られたもの、倒壊したものが見受けられ、戦争の激しさを物語る様であった。

少女は、道の左右に立ち並ぶ民家のその有様を目の当たりにしてしばしの間、絶句していたが、次の瞬間。

ヒュオッ!……ッドウゥゥゥン!

風を切る音と共に飛来した何かが、外郭をかすめてちょうど真横の建物の一角に炸裂、炎上した。
おそらくこの街からそう遠くない位置で行われている戦闘による魔術の余波か、流れ弾が偶然落っこちてきたのだろう。
そこまでは少女にも予測できていたが、しかし…

頭上に射した影に気づいてふと見上げると、ガラガラと盛大に音を立てて砕けた白塗りの壁の巨大な砕片が、下にいる物を押し潰さんとばかりに迫っていた。
対する少女は無力。

―――避けなきゃ…!
―――駄目だ、間に合わない。
―――ならばせめて致命傷を避けなければ。
―――ここで死ぬわけには…っ!
―――どうすれば…
―――どうすれば…

浮かぶ水泡の幻視が視界にちらつく。泡が生じ、弾けるように、無数の選択肢が生まれ、潰えていく。

理性が絶望に彩られ黒い沼に沈むのに比例して、頭の中は真っ白になっていく。
もはや少女は現実から目を背けることすら忘れて、ただ呆けた顔で頭上を見上げる事しかできない。

―――駄目だ。もう…。

そんな刹那。いよいよ視界一杯に広がった無味の白壁が迫りくる光景は、突如視界の端から飛び込んできた、深い藍色の布地に取って代わった。

それは、よくある魔術士の纏うローブのように見えた。
どうやら、誰かが自分の前に滑り込んできたらしい。
それだけは理解できた。
しかし、以前状況は変わらず、確認する間は無かった。

迫りくる脅威に相対したその誰かは、歌うように魔術の詠唱をしながら、左手で被っていたフードを煩わしげにはぎ取り、右の手で絡み付くローブの裾を払う。

フードからこぼれ出た銀髪が風にそよぐ。
その後姿は、少女よりも少し背の低い、少年だった。

そして詠唱が完成、声高に魔術が放たれる。

「『剛力(ブレイブ)…無双(オリオン)!!」

同時に、動作に合わせてチラリと見え隠れしていた鞘から抜刀する。
だがその間に尚も迫る壁。彼我の距離、もはや1m足らず。

「鋼魔ァァァァァァ――――」

しかしそれを気にした風でも無く、銀髪の少年は声高らかに両腕で剣を振り上げる。
激突。
その時少女は妙な光景を目にする。

少年の振り上げた剣閃はなぜか壁に突き刺さることなく、軽く薙ぐかのように通り過ぎる。
そして、僅かだが、薙がれた壁が、浮き上がったように見えた。

目を疑うような光景に唖然となる少女を置き去りにしたまま、事態は進行していく。

一旦は浮き上がり、そして再び落下する石片を見据え、肩を反らせて振りかぶった姿勢から、十分に力を溜め込んだ一閃を放つ。
「―――空・断・ケェェェェェェン!」
桁違いの腕力から繰り出された一撃が、巨岩を捉え、真二つに分つ!。

ズドォォォ……ォォン!

大地を揺さぶるような轟音と共に、一方は崩れた家屋にめり込み、もう一方は石畳の上を跳ね、倒れるのだった。

壁の崩落から粉砕まで数分とかからないことであったが、それがまるで一時間ほどの長い時間が流れたように思えた。
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そして、その夜。

「準備はこれでいいだろう」

 草木も眠る丑三時、フロート・シティの校外の岩場に俺はいた。以前は採石所として重用されていたが、作業員の一人が精霊魔術――確か、〈風撃突貫槍(エアクラッシュ・ジャベリン)〉を暴発させて地盤・岩盤が崩落。犠牲者が出ないうちに引き払われた場所だ。俺がそんなところで何をやっているのか、それは間もなく分かるだろう。

 俺は足下に描かれた奇怪な文様の前で足を止める。この地面に描かれた模様は〈魔召喚陣(デモン・サークル)〉。裏社会で生まれ、発展している〈召喚術〉で用いられる召喚陣の一つだ。俺はその陣の前で必要な呪文を唱え、それに鼓動するように陣から鈍い光りが段々と溢れていった…。そして、俺は呪文の終詩をつむぐ。

――〈魔族召喚(サモン・デモン)〉

 そして、〈魔召喚陣〉から俺の最も忌み嫌うもの、汚らわしいバケモノ――魔族が姿を現し―――

「やあ☆ 呼んだかい、ハニー!」
「ぐあっ!?」
どうやら、前方の召喚陣から姿を現しつつあったエビルデーモンに気を取られている隙に、
突如背後に出現した何者かの攻撃を受けたらしい。が…
「……………スマン、何だお前は?」
思わずゼブルは、わが目を疑った。
その襲撃者は、さしものゼブルでさえ、思わずそう言いたくなるような姿をしていた。
『おっと、これはとんだご無礼をしてしまったようだね☆ アイアムソーリー。お詫びにこの僕のナイスフェイバリットなボディを好きなだけ見るといいよ。さあ!僕のこの肉体の美を君のつぶらな瞳に焼き付けたまえぇ~☆』
それは、なんとも中途半端…というか、魔族の異常な容姿に慣れているゼブルをもってしても、それは理解不能な容姿だった。
人間の体に猛禽の足、そして両腕は翼となっている。見た感じ、伝承に出てくるハーピィそのものだが、頭髪は蜂蜜をぶちまけた様な金のロン毛、男のような、女のふりをした男のような、色白の目鼻立ちの整った一般に美形と称させるその顔立ち、そしてその上半身の、腕に当たる翼を除いて胸から上以外すべてけばけばしいピンク色の羽毛で覆われているのが異彩を放っていた。
それで声は高周波…というかもう、頭が割れるかというくらいのキンキン声で、のどが張り裂けんばかりの大声。

「ぐぅぅぅ………それで、お前は一体何なんだ!!」
思わず両手で耳を塞ぎながら、ゼブルは問いかける。
『よっくぞ聞いてくれましたぁぁぁぁぁぁ!!』
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!?叫ぶのをやめろぉぉぉ!!」
理解不能な化け物の声が俺の脳を揺さぶる。つーか調子に乗って耳元で大声を出すんじゃあねえ!
『それじゃあ、リクエストにお答えしてボクの十八番から!』
「ぁぁぁぁぁぁああああああ!!」
その時、頭の中で何かが弾けた気がした。

――全てだ…

 全て…

――腐りきった魔族も、愚図な偽善者の神族も、そしてそれらを生み出した界王(ワイズマン)も――

「――そして、それらを認めるこの世界の有り様も、全てだ!!手始めにこの目の前にいるクソ野郎をぶち殺す!!」
なんだか重要なプロセスをかなりすっ飛ばしたような気がしないでもないが、ともかくも俺は…

…目の前のふざけた馬鹿を睨みつけた。

***
この日、世界にまた一つ、新たな魔術が生を受けた…

「俺は、魔族を認めない……」

 それは、まだ名も無き黒い焔…

「俺は、神族を認めない……」

 使い手の心に宿る、禍々しき憎悪の投影…

「そして、それらを創った界王――それを認める世界を認めない!!」

 使い手の目に映る世界を焼き尽くす、はずの焔…

「全てだ……」

 下級魔族…なのかよくわからない名もなき魔族を刹那に焼き滅ぼし、そして岩をも溶かしながら燃え続けるはずのその焔は…

「全て……全て焼き尽くしてやぐはぁ!」
『そこ!うるさい!観客は黙ってボクの歌を聴く!!』

 重要なプロセスをすっ飛ばしたためか、はたまたそうなる運命だったのか。焔はあっけなくかき消され。

『さあ、まだまだいくよー☆夜明けまでフィーバーだ!』
「や、やめ…やめてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

かくして、黒き焔を従えた修羅はピンクの歌うだけしか能のないけばけばしいハーピィに足蹴にされ、三日三晩、そのカラオケに付き合わされたのであった。
これもまた、ゼブルが歩む、一つの終焉……なのかもしれない。
(完)

<願いの行方、黒き焔IF:「もしハーピィがこんなだったら」>
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